トイレの水の量が少ないときの対処法と原因
「便器内に常に溜まる水(封水)」は、下水からの悪臭や害虫の侵入を防ぐ重要な役割を担っています。もし、この水位が通常よりも低下していると感じた場合、トイレ自体の不具合や排水システムに何らかの問題が生じている可能性があります。ここでは、水位が低下する主な原因と、それぞれの対処法について、最新の情報を交えて詳しく解説します。
1. トイレの封水の役割とその重要性
便器内に一定量溜まる水(封水)は、下水管からの悪臭や害虫の侵入を防ぐためのバリアとして機能します。また、封水は排水管の内部で自然に形成される水の層であり、これがあることにより汚物を流す性能が保たれ、衛生的な状態が維持されます。設計上、封水は一定の水位に保たれるようになっていますが、水位が低下すると、以下のような問題が生じる恐れがあります。
- 悪臭の逆流
封水が不十分になると、下水道からの悪臭が室内に逆流し、生活環境が不快になります。 - 害虫の侵入
十分な水位がない場合、下水管内に潜む害虫が上がってくるリスクが増大します。 - 排水性能の低下
正常な封水があることで、便器から流れる際の圧力バランスが保たれていますが、低下すると汚物が流れにくくなり、つまりや逆流の原因にもなりかねません。
2. トイレの水位低下の主な原因
水位が通常よりも低下する原因は多岐にわたりますが、ここでは特に考えられる主な4つの原因について詳しく解説します。
2.1 タンク内給水量の不足(タンク内パーツの劣化・調整不良)
トイレタンクは、便器に適切な水量を供給するための重要な役割を担っています。タンク内の部品(例:浮き球、ボールタップ、補助水管など)が劣化している場合、または節水のためにペットボトルなどを設置している場合、十分な水が供給されず便器内に流れる水の量が減少してしまいます。
【対処法】
- タンク内の水量や各部品の状態を確認する。
- 必要に応じて浮き球の位置調整や、ボールタップの交換を行う。
- 節水目的で設置している物があれば一度取り除き、通常の設定に戻す。
2.2 軽度のつまりによる毛細管現象
排水口や配管内に、トイレットペーパー、排泄物、あるいは吸水性の高い紙おむつなどが一部詰まっている場合、毛細管現象が働き、便器内に溜まるべき水(封水)が吸い出され、結果として水位が低下することがあります。軽度のつまりの場合、完全な詰まりに至る前の段階であり、早めに対処することで元の水位に回復できる可能性が高いです。
【対処法】
- ラバーカップ(スッポン)を使って詰まりを解消する。
- ぬるま湯(40〜60℃程度)をバケツで排水口に流し、紙類が溶けるかどうか試す。
2.3 便器の破損や微細な水漏れ
便器自体に亀裂や破損がある場合、目視ではわかりにくい微細な水漏れが発生し、時間とともに封水の量が徐々に減少します。初期の段階ではトイレマットや床に水滴として現れることもあり、放置すると破損が進行するリスクがあります。
【対処法】
- 便器の外観や周辺の水染み、カビなどをチェックする。
- 軽微な亀裂であれば補修用ボンドで応急処置が可能な場合もあるが、症状が深刻であれば早急に専門の水道修理業者へ依頼し、便器の補修または交換を検討する。
2.4 サイホン作用(誘引現象)
集合住宅やビルなどで見られる現象ですが、上階の住戸で大量の水を一気に流した際、排水管内の気圧が低下し、下の階の便器内にある封水が引き寄せられてしまうことがあります。この現象は一時的な場合が多いものの、頻繁に発生する場合は便器内の水位が安定せず、結果として低い状態が続く恐れがあります。
【対処法】
- 基本的には自然現象のため、通常使用していると水位は回復することが多いが、頻発する場合は住居全体の排水システムの見直しや、管理会社への相談を検討する。
3. 自分でできる対処法
上記の原因が疑われる場合、まずは自宅でできる対処法を試し、改善が見られるかどうか確認しましょう。以下の方法は、軽度な問題や初期の段階で効果的です。
3.1 給水系統の点検と調整
まずは、トイレタンクを開けて水位が正常かどうかを確認します。タンク内の浮き球やボールタップの動作が正常であるか、節水用の工夫(例:ペットボトル)の影響がないか見直しましょう。必要に応じて、設定を通常の状態に戻し、十分な水が供給されるように調整することが重要です。
3.2 ラバーカップ(スッポン)の活用
軽度のつまりである場合は、ラバーカップを使用して詰まりを解消します。
- 方法:まずトイレの水位が低い状態であれば、バケツで水を補充し、排水口をしっかり覆うようにラバーカップを当て、ゆっくりと押し込みます。その後、勢いよく引き抜く動作を数回繰り返してください。
- 注意:作業中に水が飛び散るのを防ぐため、周囲にタオルやビニールシートで養生しておくと安心です。
3.3 ぬるま湯を使った流し作業
ぬるま湯(目安40~60℃)をバケツで用意し、便器の排水口に向けて勢いよく流すことで、排水管内に残ったトイレットペーパーなどの軽いつまりを解消する方法も有効です。熱湯は便器が割れる危険があるため絶対に避けましょう。
3.4 長期間の不使用時の封水対策
旅行や出張など長期間自宅を離れる場合、便器内の水が蒸発しやすくなるため、以下の対策を実施するとよいでしょう。
- 便器に水を足して封水を補充する。
- 便器のフタをしっかり閉じ、ラップや専用の蒸発防止剤を使用して封水の蒸発を抑制する。
4. 放置するリスクとやってはいけないこと
水位が低い状態をそのまま放置すると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。具体的なリスクと、自己処理で避けるべき行動について解説します。
4.1 放置するリスク
- 悪臭の発生
封水が不十分になると、下水の悪臭が逆流し、トイレ内および周辺に強い不快な臭いが広がります。 - 害虫の侵入
封水が低下すると、下水管内に潜む害虫が侵入する恐れがあり、衛生環境が悪化します。 - 完全なつまりへの進行
軽度のつまりは放置することで次第に悪化し、完全につまってしまうリスクが高まります。これにより修理費用や手間が増大する可能性があります。 - 水漏れの拡大
便器の破損や配管の微細な欠陥が進行すると、広範囲にわたる水漏れに発展する危険性があります。
4.2 やってはいけないこと
- 無理にブラシを突っ込む
トイレブラシなどの一般的な掃除用具を無理やり詰まりに突っ込むと、工具自体が折れて詰まりがさらに奥に移動してしまう恐れがあります。 - 原因が不明なまま作業する
つまりの原因が特定できていない場合、ラバーカップなどを無分別に使用すると、異物をさらに奥へ押し込むリスクがあります。 - 慣れていない修理作業を自分で行う
タンク内の部品交換や便器の補修などは、専門知識が必要な場合が多く、素人が行うとさらに悪化させる場合があるため、作業に不安がある場合は必ず専門業者に依頼することが重要です。
5. まとめ
トイレの水位が低下する現象は、単なる水の不足だけではなく、封水が減少することによる悪臭や害虫の侵入、そしてさらなるつまりや水漏れなど、さまざまなトラブルの前兆である可能性があります。
主な原因として、タンク内の給水不良、軽度のつまりによる毛細管現象、便器自体の破損、そして集合住宅でのサイホン作用が挙げられます。
こうした問題は、日頃から定期的な点検や掃除、そして節水対策の見直しを行うことで未然に防ぐことが可能です。また、自己処理が難しい場合は迅速に専門の水道修理業者に相談し、適切な対処を施すことが重要です。
快適で清潔なトイレ環境を維持するために、トラブルの兆候に早めに気づき、適切な対処を行いましょう。
参考文献
水回りのトラブルは街の水道屋さん.comにお任せください!
街の水道屋さん.comは埼玉県ふじみ野市発の水道屋さんです。地域密着でお客様のお困りごとを解決致します。
運営元の株式会社マルナカ設備工業は55年以上続く三芳町の設備会社。
水道修理やリフォームの高い技術と豊富な知識で高い品質の施工を提供いたします。
お見積もり、電話相談、キャンセルは無料です!
お気軽にお問合せ下さい。

街の水道屋さん.com運営元:株式会社マルナカ設備工業